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田中カレンさんの「星のどうぶつたち」 [ピアノ教本]


私の好きな曲集に、田中カレンさんの「星のどうぶつたち(カワイ出版)」があります。


とにかく美しい曲ばかりが掲載されている一冊です。

フランス近代音楽を思わせるような、美しく、おしゃれで、それでいて意外性もある曲が満載。


星座をテーマにした曲集だけに、星をイメージさせるモチーフや音型が随所に散りばめられています。「星のうた」という4曲をはさんで、16の星座を取り上げ、全体として、4曲ずつのまとまりで構成されています。



非常に美しい曲ばかりですが、特筆すべきは、アルペジオやトリル、半音階進行、ターン、同音連打等のテクニックも学ぶことができるという点だと思います。



また、この曲集を弾きこなすためには、何より「鋭敏な耳」が必要となります。


こうした曲を生徒さんに与える場合、ペダルの使用や、美しい和声にマッチした音づくりのために、子供たちと一緒になって「良い耳」で曲と対峙する必要がありますね。



子の曲集は、「こどものためのピアノ曲集」とありますが、大人が弾いても聴いても良い曲もたくさんあります。


音色の大切さを教えるときに、ぜひとも与えたい曲集のひとつですね。



※この曲集を仲道郁代さんの演奏で録音されたCD「田中カレン/こどものためのピアノ曲集」も発売されています。こちらはアマゾンで視聴もできるようです。




※もしよろしければ、コチラもご覧ください↓

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これは楽しい!「ブルグミュラーでお国めぐり」 [ピアノ教本]


最近は、発表会が近づいていることもあって、連弾の曲集の情報収集をしております。


そんな中、かなり面白い連弾曲集を発見しました。ピアノを習う人ならば誰もが知るブルグミュラーを連弾にアレンジした、後藤ミカ先生の「ブルグミュラーでお国めぐり」です。



ブルグミュラー25の練習曲は、今も昔と変わらず人気のある曲集ですよね。特に「アラベスク」や「貴婦人の乗馬」などは、発表会などでは、今だに定番曲です。


この連弾曲集では、子供たちに人気の高いブルグミュラーの定番曲を、楽しい連弾曲集に仕立て上げているところが圧巻です。


特徴としては、ブルグミュラー25の練習曲を、「世界の特徴ある音楽」にアレンジしているところ。


例えば、「タンゴ・デ・アラベスク」と言う曲では、アルゼンチンのタンゴのイメージで仕上げられています。


他にも、「イタリア」はカンツォーネ、「フランス」はシャンソン、「ブラジル」はカーニバルなど、その国ならではの音楽・リズムで、定番曲を見事にアレンジしています。



しかも、ただの連弾にはとどまらず、演奏者が入れ替わるなどの、アクロバティックな要素も取り入れているところが良いですね。


例えば、「タンゴでアラベスク」では、

「少しずつプリモにずれる」

「(プリモが)立ってセコンドに移動」

など、観客を意識した面白い仕掛けがしてあります。



また「美しい小鳥せきれい」では、最初セコンドが、

「プリモの右に立って左手を後ろにまわし小鳥のくちばしのように弾きましょう」

というビジュアル的な面白い工夫があります。



この曲集はピアノ連弾の他に、フルートやヴァイオリン、ボーカルとピアノ連弾とのアンサンブルができる譜面も付けられています。


「素直にはずんでカーニバル」では、リコーダー2重奏とのアンサンブルも楽しめます。

他の楽器とのアンサンブルは、発表会やお楽しみ会には使えますね。



巻頭には、「お話と練習の手引き」というページが設けられていて、各曲の雰囲気やストーリーが掲載されています。また、編曲者自身の「演奏のポイント」も掲載されいるので、演奏の際のヒントとして役立ちます。



「アラベスク」をはじめ、ブルグミュラーのこの曲集は、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょうから、発表会のちょっとしたアクセントに使用するのもいいですね。



また、習ったことのある大人の生徒さんは、大抵ブルグミュラーを通ってきた方。

昔の手習いで暗譜で弾ける方も多いですから、マンネリ化しているレッスンで、連弾で遊んでみるのもアリです。



さらに、今ブルグミュラーをやっている子供たちには、「仕上げ記念」で、この連弾曲集で遊ぶというのも面白いですね。



教室に一冊あると、いろんなシーンで使うことができますので、ご興味がありましたら、ぜひ一度見てみて下さい。


「ブルグミュラーでお国めぐり」←表紙はこちら





今日もありがとうございます
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「両手になったらコードネームでひいちゃおう」 [ピアノ教本]

高校生くらいになると、自分の好きなポピュラーの曲を弾きたい、という生徒さんも増えてきます。

そんなときは、譜面を追うだけではなく、やはりコード奏ができると非常に便利ですよね。


そこで良い教材を見つけました。折田信枝先生の、「両手になったらコードネームでひいちゃおう」です。


この曲集の大きな特徴は、「コードを分かりやすく楽しく学べる」という点にあると思います。


順序としては、まず英語音名をしっかり覚えることから始め、その音を「ルート」として3和音が出来上がることを教えています。


教本のアイデアとして面白いのは、


【Cコード】を「ハ長調家のお母さん」

【Gコード】を「ハ長調家のお父さん」

【Fコード】を「ハ長調家のおじょうさん」


というように、各コードの「特性」を家族の「性格」とマッチさせて分かりやすく説明しているところ。


「お母さんはすることが多くていそがしいので、曲の中ではいちばん多く登場します」

「お父さんはおしごとにむかうときは、きりっと、少しきんちょうした気持ちになります」


といったように、各コードの持つ雰囲気や性格を、子供にも分かりやすいように説明することに成功しています。


また、可愛いイラストによって、コードを学ぶ際のワクワク感を醸し出しています。さらに、解説の際の音符や五線譜を大きめに取ることで、見やすく、理解しやすいような工夫もされていますね。



また、この教材の秀逸なところは、

●わかりやすい解説(ふりがな付き)
●理論をゲームと共に学べる
●書く勉強と、弾く実践の勉強が同時にできる

というところではないか、と思います。


また、コード進行を「キャッチボール」に例えて、「進み方の決まり」を視覚的に分かりやすく説明しています。例えて挙げてみますと、


「はじめとおわりはお母さん。お母さんからなげてお母さんで終わります」

「お母さんとこどもであそぶこともあります」

「お父さんからおじょうさんにはボールをなげません。ボールがはやくてあぶないのです。最後はいつもお母さんです」


実際の教本をご覧になるとお分かりになると思いますが、主和音から属七の和音への進行などを、分かりやすい例えで説明します。


またこの教材では、小さい子の理解を促すために、音楽の記号を、いろんなキャラクターにして登場させています。例えば、


【ト長調ハウスでの「ファープちゃん」(ファの♯:ねこ)】

【ヘ長調ハウスでの「シートくん」(シの♭:いぬ)】


という感じですね。


この教材の「はじめに」にもありますが、コードネームを覚えることは、自分で弾く「アレンジ力」につながります。


また、中高生になってピアノをやめざるをえない状況でも、コードネームの知識があれば、自分一人でピアノを楽しむこともできますよね。


さらに、幼児教育や幼稚園の先生を目指す人にとっても、コードネームは必須の知識。


純粋に、コードネームの基礎から学びたいという先生も、この教本を使うことで、子供たちと一緒に勉強できます。


コードネームに関する教本はたくさんありますが、これはアイデア、企画・構成、イラスト、さまざまな面で優れた教材ですね。





コードの勉強に疲れたら、こちらへ。
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導入で使える連弾曲集「おとのくにであそぼう」 [ピアノ教本]

先日、使える教材を見つけました。

ヤマハミュージックメディアから出版されている「おとのくにであそぼう」です。



この曲集の大きな特徴は、「初めてピアノを触る子でも、音楽の世界を楽しめる連弾曲集」と言う点にあると思います。


初めてピアノを習う子というのは、全く知識も技術もないため、ピアノを弾くということができません。できるのは「鍵盤を押す」くらいですよね。


ですが、先生との「連弾」であれば、ピアノと出会ったその日から、音楽の素晴らしさに触れることができます。


この曲集では、生徒が担当するのは「たったの1音」だけです。それだけでも、伴奏譜の素晴らしさもあり、生徒は十分音楽を、そしてピアノを楽しむことが出来るわけです。


先生のパートは、「クラシック風」「ジャズ風」「ボサノヴァ風」「ロック風」「日本風」と、様々なアレンジを施してあり、いろいろな音楽に親しむことができます。



この曲集の秀逸なところは、「生徒のパートは単音だけに絞り、イメージ作りに専念させている」という点だと思います。


実物のテキストをご覧いただければお分かりかと思いますが、左のページは先生の連弾譜で、右ページは生徒が見るイラストです。


そして生徒のページ(右)には、曲の感じを説明する物語(メッセージ)が書いてあり、生徒はイラストとそのメッセージを読みながら弾くことで、その世界に入り、音楽で表現することを学びます。


例えば、「やさしいピエロのなみだ」というイ短調の曲で、生徒のページには、かわいいピエロが泣いているイラスト。


「ピエロさん どうして ないているの?なみだを ふいていっしょに おどりましょう。」


というメッセージを読み、その世界をイメージしながら生徒は単音で「その世界を演じる」わけです。



秀逸なのは、単音だけなので、生徒は弾くことに集中せずに、そうした音作りやイメージ作り、そしてリズムに専念できる、という点。


しかも、音符に関しては「読譜」を迫るものではないため、純粋に音楽を楽しむ、ということに没頭できます。



連弾曲も、どれも素敵な曲ばかりで、生徒は1音しか弾いていないのにも関わらず、音の世界に引き込まれます。



この曲集は、体験レッスンの現場でも使えます。初めてピアノを習う子でも、単音なら弾けますし、単純なリズムであれば、すぐに覚えられます。

「先生と一緒に音楽を奏でることができた」という経験は、何より楽しい想いでになるでしょうね。


体験レッスンのネタがない、導入期のレッスンに新しいエッセンスを加えたいと思ってらっしゃる先生は、ぜひ一度ご覧になってみてください。



「おとのくにであそぼう」ヤマハミュージックメディア刊



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これは面白い!「ブラウン管からケンバンわ♪」 [ピアノ教本]

今日は面白おかしい曲集のご紹介です。

全音楽譜出版社から出ている、「ブラウン管からケンバンわ♪」です。


この曲集には「ピアノでときめくCM・テレビテーマ曲集」という副タイトルがついていて、思わず懐かしい~とうなってしまうようなCMソングやテレビ番組のテーマ曲をピアノ用にアレンジしています。


「本書について」にもあるように「原曲の雰囲気がバッチリ残った」アレンジが、とても良い感じです。


まず、表紙が昔懐かしい「ツマミ」のあるテレビになっていて、この表紙の装丁が曲集全体のテーマを表しています。


目次が新聞の「テレビ欄」で、1チャンネルが「一発」、2チャンが「ノリノリ」3チャンが「名曲」、5チャンが「映画」のようにジャンル分けされていて、その中で、懐かしいCMテーマ曲を配置しています。


この「テレビ欄」も、古い新聞を想起させるようなデザインと、なぜか「バッハ 演奏法と解釈」の宣伝をしているところが、個人的には面白いと思いました。


さらに、ひとつ一つの楽譜はブラウン管をイメージしたイラストの中に収まり、ほぼ1ページ完結の簡単なアレンジを施しています。


面白いのは、そのイラストの左側にボリュームの「ツマミ」があり、そこに、該当する曲の特徴を5段階で示していること。

●難易度「やさしいなりにちょっとずつ違う演奏レベル度」

●胸キュン度「懐かしい、ちょっぴり切ない、ときめきの心象度」

●ちょいワル度「酸いも甘いも知る大人の雰囲気度」

●お笑い度「弾いてウケる、聴いて笑える面白度」

●お熱い度「弾いても聴いても熱くなる、気分高揚度」


の5つのツマミで、表示しています。


また、ご当地の方にしか分からないコアなCMソングも掲載されていて、知っている方には面白いでしょうね。

●「ハトヤの唄」(静岡県)

●「二鶴堂 博多の女」(福岡県)

●「上新電機 情熱をなくさないで」(大阪)



小さい子は、クラシックには興味がなくても、アニメソングやこうしたCMの曲など、聞き覚えがあるものに関しては、興味をもって弾くものですよね。

特に、小学生の男の子には反応が良さそうな曲集ではないか、という印象ですね。


レッスンがちょっとマンネリ化しているな、と思う先生にもレッスンの合間やクッション的な使い方をしてもありでしょうね。



また、この曲集にはかなり懐かしいCMソングも入っていますので、大人の生徒さんにとっても、面白い曲集なのでは、という印象です。


曲頭の速度表示部分に、演奏する時のイメージを、面白おかしく示しているところも、チェックです。例えば、

●正露丸⇒「お世話になってます」

●セブンイレブン⇒「24時間弾こう」

●ミスタードーナッツ⇒「オールドファッションで」

●ビックカメラCM⇒「池袋の不思議を考えながら」

●明治カールのテーマ⇒「カールおじさんはアラフォーらしい」

●ネスカフェゴールドのテーマ⇒「違いがわかる男を意識して」


という感じで、メトロノーム表示の横に、ワンポイントで笑わせてくれています。



曲集の一番最後には「ラジオ体操第一」と「ラジオ体操第二」の完全版が掲載されています。

私もラジオ体操は、ネタとして持ち曲にしていますが、弾いてあげると子供たちが喜びます。



曲集として、かなり異色な印象を受けますが、1冊の本としては、物作りの「こだわり」を感じます。


全音編集ブログで拝見いたしましたが、2009年11月の発売前に、すでに重版が決まっていたとか!


これはすごいことですよね。


テーマの設定から、装丁、選曲、コメントなど、細部にまでこだわって統一感を出すなど、軽い印象の中にも


「楽しい音楽をピアノで弾いてもらいたい」

「ピアノで弾く楽しみを感じてもらいたい」


という、出版社や編集の方の熱い思いを感じます。


しかもこの曲集の続編、「ブラウン管だよケンバンわ♪ 祝第2弾」が今年5月に発売されるなど、反響の大きさがうかがえます。


「調子に乗って第2弾」という表紙のコメントもおもしろいですね(笑)


このノリは、今までの音楽楽譜出版界には無かったノリ。

ぜひこの曲集の編集者さんに、一度お会いして、制作裏話などインタビューさせていただきたいものです(笑)



「ブラウン管からケンバンわ♪」





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「毎日の練習 12ヶ月~うたう指づくり~」 [ピアノ教本]

今日は、原田敦子先生の「毎日の練習12ヶ月(1) ~うたう指づくり~」をご紹介します。

この教本は、初心者にも取り組みやすいように構成された、指のトレーニング教本です。内容は「ハノン」の中から、演奏に必要なテクニックを抽出して構成されています。


この教材の目標は、「毎日取り組むことで、美しく柔らかな響きを生むタッチを養う」ということにあると思います。


教材の使い方は、以下のようになっています。


■基本的な使用法■

A・基本となる音型を2分音符でさらう
B・リズム変奏
C・ハノンの形で練習
D・アクセントを守り、種々のリズム変奏で練習



また対象としては、導入期を終えた指作りの段階のお子さんや、初心者の大人の方が考えられますね。


さらに、「毎日の練習12ヶ月」というタイトルの通り、一年を通してテクニックの練習をするための「レッスンダイアリー」が付録でついています。


このシートの良さは、


●達成度がひと目で分かる
●目標に向かって練習できる
●マス目を埋めることでモチベーションが高められる


というところだと思います。


マス目を埋めるといういわば「小さなご褒美」は、行動科学の点から見ても、非常に有効な手段だと言えます。



この教材は、12個の課題があり、それを「1年12ヶ月」で達成できるようなシステムになっています。


こうしたシステム構築がしっかりした教本は、さすがヤマハならではのもの、と言えるでしょう。



また「練習上の注意」からテクニック練習に関する良い言葉がありましたので引用させていただきます。


「いずれの練習の場合も、次に弾く音を思い浮かべて鍵盤を押えることが大切です。目標を定めずシュートするバスケット・ボールの選手はいないでしょう。音創りの命令者は、演奏者の心と頭であるべきです」


これは、毎日のピアノの練習への、非常に有効な進言だと思います。



ピアノの練習で大切なのはテクニックもそうですが、やはり「タッチ」と「響き」です。

全てのテクニックは、美しい音色のためにある、と言っても過言ではないですよね。




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体験レッスンプログラム [ピアノ教本]

今回は、秋の生徒募集の時期ということで、体験レッスンに特化した教本のご紹介。


木下早苗先生の著書「さぁ レッスンをはじめましょう!! ピアノ体験レッスンプログラム」は、ピアノの体験レッスンを、子供たちにとって楽しく、そして一度のレッスンでおおよその基礎を身につけてもらえるように書かれた素晴らしい教本です。



第1章では、音の高さ、長さなど「音の基礎」を学び、第2章では、リズムの基本など「音楽の基礎」を、第3章では、大譜表の勉強から「楽譜の基礎」を学ぶ流れになっています。


またこの教本では、体験レッスンで使えるレッスンアイデアが満載です。


また、レッスンを受ける人の年齢や経験に応じて、幼児から大人までの体験レッスンで使用することができるところが素晴らしいです。まさに、この1冊で体験レッスンには困らない教材と言えます。



各課題には「先生へ」という指導者への指導ポイントが丁寧に書かれてありますので、非常に役立ちます。

このアドバイスは、体験レッスンに関わらず、日々のレッスンにも応用できる、非常に有益な言葉ですね。



ピアノのしくみを分かりやすい絵で解説したり、音符や記号など、楽典の解説もあるところは、非常に優しい配慮ではないかと思います。


また経験者が体験レッスンに来たときの「チェックポイント」も詳しく挙げられています。

これは、今後その生徒さんがどのような練習が必要なのかということをアドバイスするときに有効ですね。



また、巻末には詳しい「作曲家年表」がありますので、作曲家の年代、時代区分、出身国などが一目瞭然です。


イラストもとても可愛く、巻末にあるリズムカードは、普段のレッスンでも大活躍しそうですね。


この教本は、体験レッスンに特化したものでありますが、普段のレッスンでも使える優れた教本だと思います。教室に1冊常備しておくと、重宝しそうですね。




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池田恭子先生の「おとなのためのピアノテクニック」 [ピアノ教本]

今日は、テクニック本を取り上げてみたいと思います。

池田恭子先生の「おとなのための ピアノテクニック」です。


この教材の「はじめに」にもあるように、この教本は、保育園や幼稚園、小学校の先生、さらに先生を目指す受験者を主な対象としたテクニック教本です。


この教材の第一目標は、「大人の初心者のテクニックを出来るだけ早く付ける」ことにあると思います。


その目標を達成させるため、「リトルピアニスト」「第1過程練習曲」「バイエル」など、さまざまな練習曲を研究し、エッセンスを抽出したうえで、短い練習曲を数多く提供しています。



テクニック上達のために必要な要素だけを抽出することで、無駄な練習を省き、着実にテクニックを身に付けることができるようになっています。



各テクニックの前に説明書きがあって、まず頭で理解してもらえるような配慮がなされています。例えば、


◆スタッカート・・・指先をしっかりさせて腕の力を抜き、打鍵の反動を利用して次の打鍵をする

◆レガート・・・打鍵した指に重心をかけたまま、次の指を用意し、重心を横にずらすようにして次の音を弾く。


またこれらは、ピアノ講師にとっても大人の方にテクニックの説明するときに、役立つフレーズだと思います。



講師の立場から考えてみますと、レッスンにおいては、まず課題に出されている各曲が、「何のため(テクニック)の練習曲なのか」ということを分かりやすく説明する必要性があると思います。


課題を明確にした上での練習は、効果的ですからね。



またこの教本は、1つの課題を「リズム変奏」による練習によってテクニックを習熟させるタイプの教材です。


「リズム変え練習」は、ある程度効果は見込めるものの、取り組み方によっては、時間の浪費にもつながりかねない」という部分があると思います。


長い時間をかけて、いろんなリズムに変えて練習するのは、ある程度の効果はあるかもしれませんが、大事なのは「集中力」だと思うんです。


指先とリズムに集中して、自分の出した音をよく聴くことで初めて「リズム変奏」の価値がでると思います。この点、私も普段の練習において、「1回の集中練習にかけることの大切さ」を、痛感しています。


ですから、その生徒さんの指の特性を考えた上で、練習が必要な「リズム」を教えてあげることで、効率よく練習できるのではないか、と考えます。


この教材も、時間のない大人の方のための教材ですから、練習のポイントを明確にさせてあげて、集中して練習することを奨励してあげたいところですね。



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夢みるピアニスト 幼児のピアノ入門 [ピアノ教本]

今日は、田丸信明先生の「夢みるピアニスト 幼児のピアノ入門」を取り上げてみます。


田丸信明先生は、

★「ぴあの どりーむ」シリーズ
★「新版おんがくドリル」シリーズ
★「ピアノの森」
★「ピアノフレンド」
★「ゆびのたいそう」
★「新編こどものハノン」
★「新版こどものブルクミュラー」ほか多数。


など、素晴らしい教本を多数出版されています。



「夢みるピアニスト 幼児のピアノ入門」は、「夢みるピアニスト第1集」への準備のための教本です。


この教材では「中央ハ」を左手の「5」の指で弾かせ、オクターブ上の「高いド」を右手の「1」の指で弾かせます。つまり右手も左手もト音記号。

両手がト音記号、という状態は上巻の全て、下巻の29番「ゆうべのほし」までずっと続きます。バイエル教本と似て、若干「ヘ音記号」の出現が遅いか、という感じもあります。

また、途中ヘ音記号が説明なしに出現するので、若干混乱する可能性もあるかもしれませんね。


それを察してか、*注として、

「低音部記号に早く慣れさせるために、全音符に自分の好きな色を塗らせるのもひとつの方法です」

とあります。




上巻の「もりのあさ」まで、左手の伴奏が「ド」と「ソ」のみ。「いしけり」から左手の伴奏が動きます。


また上巻56番の「ちょうちょう」で左手が2音和音の伴奏となります。「ドソミソ」といういわゆるアルベルティバスは、下巻の57番になってやっと出てきます。



「ゆびのたいそう」という数小節のエチュードが挿入されていて、曲だけでは補いにくい指のトレーニングも取り入れています。これは短いだけに、小さい子も取り組みやすいですので、上手に使用して少しずつ、いろんなテクニックを学ばせたいものです。


音符や楽語などの解説が極力省略されているので、こどもたちの理解度を高めるのは、指導者の裁量にまかせている部分が大きいと思います。


この教材を使って、いかに楽しく指導するかは先生の腕にかかっている、と言えるでしょう。こういう教材を使用するときは、とにかくどんどん進むべき、と個人的に思います。

一曲に時間をかけていると、生徒さんが飽きます。また、時間をかけてきちんと仕上げる理由もあまりありません。例えば、音符の名称を覚え、長さも理解できて、ある程度弾けたら○をあげる。


とにかく両手奏に早く慣れさせて、できる子には伴奏の形をどんどん変えて弾かせます。伴奏が単純な分、いろいろな形に変化させて、たくさんの伴奏型に慣れさせることで、楽しさが増します。


子供たちがよく知っている曲を取り上げているので、割とすんなり教材に入っていけることでしょう。



※現在、ピアノ教本の研究の成果を「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」に執筆しています。ご興味のおありの方は、のぞいてみてください。



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どれみふぁどんぐり [ピアノ教本]

今日は、江口寿子先生の「どれみふぁ どんぐり」のご紹介。




この教本は、以前ご紹介した「みんなのピアノ教室 がんばれキャッツ導入用」との併用のために作られたものです。



教本の巻頭から「読譜」について要約してみます。

■3才での読譜は難しい。4才は子供による。5歳はほとんど大丈夫。
■「かたまり読み」を提案。教本を終わらすのには半年~1年。
■手を見て弾く癖を否定
■絵符で読譜を学ばせる
■日本のピアノ教育に根強く残る「厳しいレッスン」を否定。
■子供に伝えるべきなのは、音楽の楽しさや快さだけ、とする。



この教材の特徴として、導入の最初期のレッスンのために作られた教材なので、とにかく「弾く楽しさ」を感じてもらえるように構成されている点が挙げられます。



特徴的なのは、音符が読めなくても弾けるように『絵符』の採用。


例えば「ド」はどんぐりの絵、「レ」はレモンの絵が描かれていて、音符が読めなくても絵でピアノが弾けるようなシステムです。


これにより、幼児でも分かりやすい「絵」を音符に当てはめることによって、まったくの初めてのお子さんでも、ピアノが弾けるようになります。この「初めてなのにピアノが弾けた」という、小さな成功体験は、幼児にとっては、この上ない喜びとなるでしょう。



また、テクニックは幼時でも段階的につけられるように、無理なく進められるように配慮されています。



すべての曲に歌詞がついていて、曲に対するイメージがわきやすいように配慮されています。幼児は、やはり歌が大好きですから、導入教材には歌や、歌詞が必須のものとなっていますね。



それに伴い、江口先生は「歌いながら弾かせるような指導」が望ましいとしています。


歌うことは、これからのピアノ学習の上で、非常に重要な要素となります。なぜなら、歌うことが出来る子は「ピアノでも歌える」子になるからです。そういう点においても「歌いながら弾かせる」指導は、大切ですね。



また、先生と一緒に楽しくピアノが弾けるように、連弾の曲が多く掲載されています。ピアノが弾けるお母様でしたら、家での練習も連弾で楽しくできますね。



また、前回ご紹介した「がんばれキャッツ」と併用すると、なお一層効果的です。



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