轟千尋先生の「おぼろ月夜の主題による幻想曲」 [ピアノ曲]
懇意にさせていただいている、作曲家の轟千尋先生が、新たな作品を生み出しました。
「おぼろ月夜の主題による幻想曲」という作品で、今回は「全音ピアノピース」で登場です。
全音ピアノピース一覧表による「難易度」は、「D =中級上」とあります。
タイトルの通り「おぼろ月夜」の旋律をテーマにした、7ページにわたる作品。
「幻想曲」とは、形式にとらわれず、自由な楽想で展開する曲、幻想的な趣のある曲を指しますが、この作品も、「おぼろ月夜」という言葉が持つ幻想性と、曲の幻想的なニュアンスが融合した作品となっています。
ちなみに、こちらの「全音ピースサイト」で、実際の楽譜を見ながら作品を視聴できます。
★全音ピアノピース No.519
http://pianopiece.jp/911519-2
曲の冒頭の左手の伴奏はppで、うっすら光の差す古風な夜を表しているかのようです。
おもむろに現れるのが、「おぼろ月夜」の旋律。
D-durから突如、C-durに転調するところは、パッと雲間が晴れたような印象を受けます。
トレモロを主体とした幻想的な背景に、巧妙に調を変えながら、現れるテーマ。
繊細さとグランディオーソな部分が、変わりゆく月夜を表しているかのようです。
印象的な和声は、ドビュッシーやラヴェルを彷彿とさせ、それがまた日本的な趣を醸し出しています。
私も実際に弾いてみましたが、何より感じたのが、
「聴き映えのよさと、弾きやすさ」
コンサートピースにふさわしい華麗さや、聴かせどころもしっかりあります。
また弾きやすさは、素晴らしいピアニストでもある轟先生ならではの、考え抜かれた技法と、ピアニスティックな発想によるものだと感じました。
耳になじみのある旋律なので、発表会の講師演奏などで演奏しても喜ばれそうですね。
(個人的には、なぜD-durを選ばれたのか、興味のあるところです)
轟千尋先生の世界観に触れられる作品。多くの人に親しまれていくことでしょうね。
★今日の一曲
「おぼろ月夜の主題による幻想曲」轟千尋・作曲
コメント 0