「あなたがピアノを教えるべき11の理由(飯田有抄・構成・解説)」 [書評]
以前、「あなたがピアノを続けるべき11の理由」という書籍をご紹介いたしました。
先日、この続編とも言える本が出ました。
「あなたがピアノを教えるべき11の理由(飯田有抄・構成・解説)」。
前書が、ピアノを弾く・学ぶ人への提言でしたが、今回はピアノ指導者への提言としての一冊です。
「はじめに」にもあるように、
「『ピアノを教える』という教育活動をあらためて考える」
「どのような意義があり、何が求められているのか」
をテーマとして、「ピアノを教えることの意味」を考えるものとなっています。
今回も、ピアノ指導者やピアニストはもちろんのこと、幅広い分野での第一人者が寄稿しています。
なかでも、生物学者の福岡伸一さん、公文の三宅良寛さん、などは、およそピアノとは関係ない人物。
けれども多くの場合、新しい知見はおよそ分野の違う人の視点から生まれるもの。
今回の人選も、おそらくそうした意図で、行われたのでしょう。
11人の専門家が考える、「ピアノを教えるべき理由」。
具体的な内容はお読みいただくとして、個人的には、
「生物と無生物のあいだ」で有名な、福岡伸一さんの、
「教育の目的とは、この『センス・オブ・ワンダー』の『ありか』を子供たちに伝えること」
ピアニストの舘野泉さんの、
「本を読むことも遊ぶことも、私にとってはピアノから遠いものではなく、すべてが一つにつながっている」
吹奏楽指導者の石田修一さんの、
「たった一つの音をポンと鳴らすだけでも、そこには千の表情をつけることができる」
「幸せとは、人に感謝し、人のために自分が何かをしてあげられること」
公文公教育研究所社長の三宅良寛さんの、
「指導者は自分自身が学び続ける存在であるべき」
などは、ピアノ指導者として大切なマインドとして、心に残りました。
文量はそれほど多くありませんが、あらためて「指導者とは?」を考えるきっかけとなりました。
欲を言えば、もう少し、音楽やピアノ業界ではない、全く違う分野の方のお話もあれば、と言うところですね。
いずれにせよ、今ピアノを教えている人、これから教えようと思っている人には、心に残るフレーズがたくさんある。
そんな一冊ではないかと感じました。
★今日の一冊
「あなたがピアノを教えるべき11の理由(飯田有抄・構成・解説)」ヤマハミュージックメディア
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