齋藤寛さんの「心を動かす音の心理学」 [アーティスト]
今日は最近読んだ本のなかで、とても良いなと思った書籍を。
音環境コンサルタントの齋藤寛さんによる著書、「心を動かす音の心理学―行動を支配する音楽の力」です。
この本は、脳科学の見地から、音や音楽がいかに人間に影響を及ぼしているか、と言う点を様々な視点でアプローチしています。
最近はいわゆる「脳ブーム」ですが、音楽が脳に与える影響を、分かりやすい筆致で書いています。
この本のよると、耳に入った音や音楽は、脳のあらゆる場所で処理されている、ということ。つまり、音楽を聴くことは、脳のいろんなところに刺激を与えている、ということなんですね。
だから音楽を聴くと、その音楽が感情に訴えてきたり、ピアノを習ったりすると、学習能力や認知能力に良い影響を与えるのだろう、と思ったりしました。
音楽はIQを高める、とよく言われますが、なぜそうなのか、と言うことも分かりやすく解説しています。
アメリカのある研究では、ピアノを習わせた子供と、習っていない子供とでは、IQが3~3.5も差が出たということ。
また、子供だけでなく、60~85歳の大人に対しての実験でも、記憶能力が優位に改善した、としています。
こうしたデータは、ピアノを教えている先生にとっては、嬉しいデータですね。
それから音楽の聴き方として、落ち込んだときには、楽しい曲よりも自分の気持ちを代弁してくれるような音楽を聴くと良い、というのもうなづけます。
「音楽が持つ感情の共有」という表し方をしていましたが、まさにその通りだな、という印象です。
「音楽でストレスを消す」という章では「自然の音に親しむ」ということを書いています。
私はドイツに留学していたことがありますが、ドイツの街、たとえば中心街を歩いていると気付くのは、そこに「音楽がない」ということです。
東京などでは、どこを歩いていてもお店から音楽が聴こえてきたり、絶えず音楽に触れている状態。
けれども、ドイツではお店以外では音楽はあまり聴こえてきません。
人々が石畳をコツコツと歩く靴音、人々の会話、子供たちの歓声、教会の鐘の音、バスが到着する音・・・そうした「音」が、自然とその「場」を形成しているのですね。
それが、人々の生活感であり、自然に創り出されるBGMとなって、その「街らしさ」になっていたりするのでは、とふと思いました。
書籍の後半では、音楽をビジネスに効果的に活用する方法について、具体的に書いています。
飲食店では、お店の内装や雰囲気も大事ですが、音楽という聴覚情報が与える印象が、多くの部分を占める、ということ。
私もよく感じますが、お店はとても凝っていていい感じなのに、流している音楽でもったいないなと感じてしまうことが結構あります。
以前このブログで、BGMの効果についてちょっと書いたことがありますが、こうして専門家の方がBGMの効果について述べているのを読むと、あらためてその重要性を感じますね。
音楽ひとつで、お店の売上が変わってくる、ということは本当にその通りだと思います。
そういう意味で、この本は音楽関係の人はもちろん、飲食店経営をされている経営者の方にぜひお読みいただきたいですね。
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私も読みました。いい本でしたね。
by NLP前田 (2011-09-13 09:48)
前田さん、コメントありがとうございます。
とてもいい本でしたね。音楽の楽しみ方がちょっと変わりそうな、そんな本だと思いました。
by lila (2012-01-30 20:13)