田村智子先生と岩瀬洋子先生の「はじめてのハノン」 [ピアノ教本]
ピアノを専門とする人であれば、必ず通るのが「ハノン」。 レッスンの現場で使われている人も多いでしょうね。
ただ、取り組む際の目的や、課題の意図を理解していないと、その効果は十分得られないこともあるのではと思います。
そこでハノンを効率よく学ぶための教材を。田村智子先生と岩瀬洋子先生による、「はじめてのハノン」です。
「はじめに」にもありますが、この教材の特徴として、
●考えて弾く力が身につく
●短時間で集中して効果を上げることができる
といったことを挙げています。また、様々な組み合わせで練習することができるため、「実際のハノンをそのまま練習するよりも数倍の効果が得られ」るとしています。
1曲見開き1ページで構成されていますが 右ページの「れんしゅう1~3」では、ハノンの各課題のポイントをおさえた上で、リズムや音型を変えた課題を提示。
特に「れんしゅう3」の1と5の指の音符を休符にした課題は、確かに腕の脱力を学ぶために、とても有効だと感じますね。
著者の田村先生、岩瀬先生の教材に共通しているのは、「短時間で集中して効果を上げる」というテーマではないかと思います。この背景には、
「最近の子供たちは非常に忙しいこと」
「彼らが集中して取り組める時間の長さ」
こうしたことを考慮して、教材開発に取り組んでいらっしゃるのではと思います。
ただ、こうした目的を達成するためには
「教材の本質はどこにあるのか」
「教材のエッセンスを上手く抽出する」
こうした核の部分にフォーカスする必要があります。
お二人の数々の教材が、以上の点をふまえ、そして何より実際のレッスンの現場から生まれていること。
多くのピアノの先生に受け入れられているのは、そういったことが理由なのでしょうね。
【今日の一冊】
「はじめてのハノン」
籐先生、私たちが本の説明をするよりも、数十倍も的を得たお言葉で、とても嬉しくなりました。そうなんです。この本は、練習時間がない方にでもテクニックをつけてほしいという願いがあります。今度、ぜひ本の前書きを籐先生に書いてほしい!と思ってしまいました。とりあげていただき感謝感謝です。ありがとうございました。ペコリ。
by 田村智子 (2012-03-07 22:34)