中野振一郎さんの「チェンバロをひこう~憧れの楽器をはじめるための名曲集」 [ピアノ教本]
今日は、めずらしいチェンバロに関する教材を。
中野振一郎さんによる「チェンバロをひこう~憧れの楽器をはじめるための名曲集」です。
中野振一郎さんといえば、鍵盤奏者なら誰もが知る、日本を代表するチェンバロ奏者ですね。
教材の「はじめに」にもありますが、「チェンバロで17~18世紀の鍵盤楽曲を美しく奏でるための手引書」と位置付けて、チェンバロの奏法についての解説を含め、「17~18世紀に書かれたチェンバロで弾くべき名曲」を25曲チョイスして掲載されています。
巻末には「各曲の手引き」があり、詳しい曲の解説や、演奏上の注意点などが提示されています。
たくさんの名曲の譜面が掲載されているところも魅力ですが、特筆すべきは中野先生による、
「チェンバロについて」
「チェンバロのマナー」
「チェンバロの多彩な奏法」
などの、チェンバロの歴史についての解説・読み物の部分。
「チェンバロとピアノは、まったく違う楽器」と定義した上で、チェンバロのアクションの解説や、現代の「電子チェンバロ」までの歴史を説明しています。
また「チェンバロのマナー」のところでは、腕や指の使い方、チェンバロでのレガートの弾き方、ピッチについてなど、チェンバロに詳しくなくても読んでいて面白い内容です。
さらに、ピアノを教える講師でもちょっと曖昧な、「装飾音」の弾き方についても多くのページを割いて解説をしています。
ボタン一つで、チェンバロの音も出せる電子ピアノがあれば、チェンバロの音色に設定して、この教材を弾いて楽しむ、という方法もありますね。
チェンバロを学ぶ人はもちろん、ピアノを学ぶ人にも、いろいろと学びがある教材ではないかと思ったりします。
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